【工務店の社長日記】私的住宅論その1:断熱基準について思うこと ~吉田建設@高松市~
2024.10.22
2025年4月から省エネ基準が適応義務化になります。住宅の高断熱化にこだわってきた私にとって、ようやくここまで法整備が整い、今後住宅の省エネ化や高断熱化は順当に進んでいくと期待しています。
さて、今回規定される省エネ基準は、住宅の外皮平均熱貫流率Ua値=0.87を最低限度として確保する基準であって、将来の省エネ住宅を見据えた「HEAT20 G1・G2・G3」という断熱推奨基準も設けられています。
断熱の推奨基準をどこに設定するのかは設計者や建築会社によって考え方は違ってきます。最近の新築住宅ではZEH基準を高断熱住宅と謳っている会社さんが多いのではないでしょうか。皆さんだったら、これから建てる家の断熱性能をどのレベルにしたいと思いますか?
私は、断熱性能はお施主様が選択するものでは無いと思っています。設計者が自分の家づくりの考えに基づいて断熱性能を示し、お施主様がその考え方に同調できるかどうかだと思っています。
最近の住宅会社のHPや広告を見て気になることがあります。断熱材やサッシの種類で優劣をつけたり、断熱性能をよくする目的で開口部を小さくしたり、「HEAT20G3レベルの家」や「家は性能」などの宣伝広告、などいった断熱性能のセールストークに少し違和感を感じています。この材料の比較や数値競争が将来の日本の住宅像になっていくことに危機感すら感じています。
本当に快適な住まいを実現するには、建材の優劣や断熱の高数値だけでは絶対に快適な住宅にはなりません。当然地域性を加味した高断熱化(HEAT20G2レベルは最低)は必要です。それに太陽の光と自然風を活用したパッシブ設計(日射遮蔽・日射取得・自然風利用による気流)また断熱にかける予算とその温度効果等を総合的に判断して、想定室温と冷暖房負荷で設計することが大切だと考えます。
温暖な気候といわれている香川ですが、年中温暖なわけではありません。夏は暑く冬は寒く四季があるのです。季節のいい時は窓を開けて自然の風を取り入れた方が気持ち良く、冬の窓辺のぽかぽかとしたいい感じ、冷暖房機器は補助的に使う。そのような暮らしが快適で省エネにもなるのです。私はこれからもこのような家づくりを提案していきたいと思っています。