吉田建設ブログ

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【工務店の勉強】日本建築の見学

2025.11.2

皆さんはじめまして、大工の井口です。
このたび、吉田20’sの勉強会として日本建築の住まいを見学させていただきました。六車工務店さんが手掛けられた和風住宅のリノベーションであり、伝統的な建築の魅力と現代の暮らしとの調和について考える貴重な機会となりました。

 建物全体に使用されている木材は温かみがあり、空間全体に落ち着いた雰囲気を与えていました。特に欄間や雪見障子などの意匠には、職人の高い技術と丁寧な手仕事が感じられ、伝統美の力強さを実感しました。また、一室から庭を一望できる設計は、屋内外のつながりを大切にする日本建築ならではの工夫であり、とても印象的でした。

 工務店の家づくりでは、「素材のルーツを知る」という考え方が重視されており、使用する木材の産地や丸太の大きさまで一つ一つ丁寧に選定していることに驚きました。これまで私は、建材を用途や価格で選ぶことが多く、素材そのものの背景にまで意識を向けることは少なかったため、新しい発見でした。素材に対するこだわりや考え方を持つことが、家づくりへの説得力や信頼につながるのだと感じました。

 既存部分と新たにリノベーションされた部分が自然に調和していた点も印象的でした。木製建具を多く使用することで、室内外の一体感が生まれ、庭を眺めながら過ごす豊かな時間を演出していました。杉板を白く着色して光を反射させる工夫や、離れの大きな窓と天窓による開放的な空間づくりなど、素材と設計の両面で深い配慮を感じました。

 また、工務店ごとに家づくりに対する考え方にも違いがありました。ある工務店は「100年後を見据えたリノベーションを前提とする考え方」を持たれており、一方で別の工務店は「現在の家を100年持たせるための性能向上」を重視しています。どちらが正しいということではなく、目指す方向性の違いが非常に興味深く、建築の奥深さを改めて感じました。

 さらに、「次の世代が古民家を再生できない現状に危機感を持っている」という設計士さんのお話が心に残りました。便利さや効率化を優先する現代の建築では、長く受け継ぐという視点が薄れていることを実感しました。AIや機械では決して再現できない職人の技術の価値を改めて認識し、その技術を継承していく仕組みの必要性を強く感じました。

 今回の見学を通じて、伝統建築の美しさと現代の暮らしの調和のあり方について深く学ぶことができました。素材や空間、そして職人の想いが一体となって生まれる家づくりの大切さを実感し、今後の自分の仕事にもこの学びを活かしていきたいと思います。

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